タイトル写真

アイリッシュコーヒーの正しい飲み方

 短編の名手、阿刀田高(あとうだ たかし)さんの「コーヒー党奇談」(講談社文庫)には、アイリッシュコーヒーが登場。さらに、正しい飲み方までが、うまく短編小説に織り込まれています。
 コーヒーの登場する小説は、かなり多いと思いますが、アイリッシュコーヒーが題材になっているものは珍しいのではないでしょうか。それも、ストーリーの中で、重要な役割を果たします。
 この文庫には、表題の「コーヒー党奇談」のほかに、「橋のたもと」「地の果て岬」「守り神」など11の短編が収められています。どの作品も阿刀田さんならではの鋭さでで、ちょっとアイルランドウイスキーが多目の、アイリッシュコーヒーのような深みのある味わいです。

アイリッシュコーヒーの
正しい飲み方

 「コーヒー党奇談」のストーリーを簡単に説明すると、舞台になったのは、運河の街として知られるフランスのアムステルダムです。
 そこで、コーヒー好きの主人公は、美味しそうなコーヒーの香りに誘われて1軒の店に入ります。
 覚えたばかりの頼りないフランス語と、怪しげな英語を使い「ナンバー・ワン・コーヒー」といって注文をすると、出てきたのが、「コーヒーを濃い目に淹れる。シュガーを溶かす。ショット・グラス一杯ほどのウイスキーを注いで、さらに暖める。」といった手順で作られたコーヒーでした。
 その店の主人と10年後に、東京の街で会う約束をするのですが、会うことができません、というよりその部分にこの短編のオチがあります。そのあたりは、読んでからのお楽しみということにしておきます。

武蔵野珈琲店でもアイリッシュコーヒーには、スプーンが付いてきます
武蔵野珈琲店でもアイリッシュコーヒーには、スプーンが付いてきます

 「長いスプーンがつくが、これで掻き混ぜるのは正しい作法ではないらしい」といった言葉があり、「まず冷たいクリームが唇に触れる。無塩バターのような味わい。その下から熱いコーヒーが滲んでくる。コーヒーの味、ウイスキーの味が舌先に広がる。鼻孔にはコーヒーの香り、ウイスキーの香り、渾然としてわるくない。シュガーの甘さもクリームと混じり、コーヒーと混じり、さまざまな濃淡を舌先にもたらす。少しずつ溶けあい、やがてシュガーとコーヒーとウイスキーがまろやかに混じりあった独特な飲み物と化す。」と、アイリッシュコーヒーの正しい飲み方と味わいの変化が見事に描写されています。

ホイップクリームをたっぷりと乗せます。コーヒーは、ホイップクリームやアイリッシュウイスキーに負けない、苦味のある濃い目のコーヒーです
ホイップクリームをたっぷりと乗せます。コーヒーは、ホイップクリームやアイリッシュウイスキーに負けない、苦味のある濃い目のコーヒーです

 武蔵野珈琲店のマスターに聞くと、「やはり、最初は掻き混ぜないで飲んでいただきたいですね。ホイップの冷たさとコーヒーの熱さを楽しみながら、味わってみてください。阿刀田高さんの書いているとおりに、最後は独特な味わいのコーヒーになりますよ。身体も温まるし、冬の寒い頃にはとくにおすすめです」とのことでした。
 掻き混ぜないのになんでスプーンが付いているんですか? とさらに質問をすると、「上に乗ったホイップが少なくなってきて、少し甘さが足りないと思ったらスプーンを底の方まで入れてゆっくり掻き回してください。沈殿しているシュガーが溶けて甘味が強くなります」とのことでした。

【アイリッシュコーヒーの正しい飲み方 Photo Guide】
「コーヒー党奇談」(講談社文庫刊) 主人公がアイリッシュコーヒーと出合います P15
「コーヒー党奇談」(講談社文庫刊) 主人公がアイリッシュコーヒーと出合います P15
スプーンを使わない、アイリッシュコーヒーの正しい飲み方の解説が出てきます P15 アムステルダムは、縦横無尽に運河が広がる美しい街です。水上交通も盛んです
スプーンを使わない、アイリッシュコーヒーの正しい飲み方の解説が出てきます P15 アムステルダムは、縦横無尽に運河が広がる美しい街です。水上交通も盛んです
中央写真

運河の橋の上にあるアムステルダムの、オープンカフェです。こんなシチュエーションで飲むコーヒーはさぞかし印象的でしょうね。羨ましい限りです

【スポンサードリンク】

【珈琲とカフェ】

【コーヒーやカフェの話題】

【カフェアンケート】

【珈琲豆について】

【ヨーロッパのカフェ】

【Cafe Menu】

【Coffee&Tea Cup】

【日本のカフェ】

【sweets & cake】

【その他】

【吉祥寺】

【井の頭公園】